表題のセミナーに参加して来ました。
テーマはこちら。
『AI台頭の時代、選ばれ続ける技術翻訳者になるために』
なお、日本工業英語協会はTechnical Writingのセミナーを行っている団体なので、このセミナーも日→英の技術翻訳に特化した内容です。
セミナーの前半は、日本工業英語協会専任講師の福田尚代先生、後半は、サイマルアデミーの翻訳部門担当者さんの講演でした。
福田先生が講演の中で強調されていたのは、選ばれ続ける技術翻訳者になるためには、Technical Writingに必要な5つのポイントをマスターしておく必要がある、ということ。なぜなら、機械にはこのポイントを抑えた英訳ができないから。
5つのポイントの詳細については中山裕木子先生のこの本など、Technical Writingの教本に書かれています。
その中で一番重要なポイントは『3Cの知識がある』ということ。このテクニックは本当に大事なので、私は自分のアピールポイントとして名刺に以下のように記載しています。
『技術英文では、正確 (Correct)、明瞭 (Clear)、かつ簡潔 (Concise)に書くことが求められ、これらはTechnical Writingの3Cと呼ばれています。この3Cに基づき、読み手にわかりやすい英訳を目指している日英専門の技術翻訳者です。』
この3Cを含む5つのポイントを学ぶために私は工業英語勉強会に通い始めました。
Technical Writingに必須のテクニックです。
そして、後半のサイマルアカデミーさんの講演では、翻訳業界マーケットの概要を含め、機械翻訳の動きなどについてのお話がありました。ざっくり説明するとこのような内容です。
・翻訳市場の需要のうち、90%が実務翻訳。
・翻訳方向については日英が60%、英日が40%。
・機械翻訳については、特許、IT、医薬から、法務、金融分野へ広がりつつある。
などなと。
前半の講義で、福田先生はPE(ポストエディット、機械が英訳したものを人間がチェックする)の仕事も引き受けるべき、とおっしゃっていましたし、サイマルアカデミーさんも、今後PEの仕事の需要が増えるので、PEもできます、ということが翻訳者としてのアピールポイントになる、とお話しされていました。
しかし、私個人としては、PEの仕事を引き受けるつもりは今のところありません。
私がなぜ英文チェックやPEの仕事を受けないのかという一番の理由は、正しくない英文を自分の頭の中に入れたくないからです。
ネイティブではない私にとっての一番の訓練は良質の英文をたくさんインプットして、日々の仕事でそれをアウトプットすること。なので、正しくない情報は一切インプットしたくないのです。
これは英訳の仕事を続けて行こうと決意した私の信念のようなものです。
あとはやはり、英文を一から考えて訳していくというのが英訳者の醍醐味であると私は思っているので、この醍醐味が、少しでも伝わりやすい英文を書くために勉強を続けるモチベーションとなっています。
最後に、これから技術翻訳者を目指す方々へ。
日本人にとって英訳者を目指すのはハードルが高いと感じるかもしれませんが、日英翻訳の需要は増えています。
原文の日本語をしっかり理解できるのは日本人の得意とするところ。それをわかりやすい英文で伝えることができるのが私たち日本人の強みです。
Technical Writingを学んでぜひチャレンジしてほしいと思います(^^)