日英翻訳者 Kazuki のあれこれ

英訳一筋20年、日英翻訳者 Kazuki の日々のあれこれです(^^)

未経験者が翻訳の仕事を始めるには?

翻訳の実務経験がない人は、どのようにして翻訳の仕事に就けばいいのでしょうか。

私のおススメは、まずは派遣会社に登録するなどして、社内翻訳者になることです。

 

以前の投稿でも書いたように、私は社内通訳・翻訳者としてキャリアをスタートしました。

私の場合は大学新卒で正社員、という珍しいパターンなのですが、このような人材募集はあまりないので、やはり派遣会社に登録、と言うのが近道だと思います。

全く翻訳の実務経験がない場合、最初からフリーランスというのはまず無理です。

 

私が考える社内翻訳者のメリット・デメリットはこのような点です。

 

メリット

  1. 収入が安定する。

    これはやはり一番のメリットですね。フリーランスの場合、収入がゼロの月も。
  2. 様々なタイプの文書の翻訳に携わることができる。

    社内翻訳者時代にはありとあらゆる文書を翻訳しましたが、この時の経験が今の私のベースになっています。
  3. マニュアルや仕様書の翻訳の場合、実際の製品を確認することができる。

    実機を触ることもできる場合があるのは大きなメリットです。
  4. 技術者さんや原稿作成者に直接質問できる。

    フリーランスの場合は翻訳会社経由で質問することになりますし、回答が返ってこない場合もあります。直接質問できるのは本当にありがたい。

  5. 長い目で見てもらえる。

    社内翻訳者の場合、最初は専門知識がなくても長い目で見てもらえますが、フリーランスの場合は、一度でもクオリティの低い訳文を納品してしまうと次はありません。
  6. オンとオフの切り替えがしやすい。

    在宅で社内翻訳の仕事をする場合は切り替えが難しいかもしれませんが、オフィス勤務の場合はすぐ切り替えられます。フリーランス翻訳者は旅行にもPC持参です。
  7. 孤独になりにくい。

    これも在宅の場合は難しいかもしれませんが、少なくとも同僚が存在すると思うので孤独にはなりにくいです。フリーランスは一匹狼なので常に孤独です。
    ただ、私の場合はSNSや趣味などで色んな方々と繋がりがあるので孤独を感じたことはありません。社内翻訳者の頃より確実に人脈は広がりました。

デメリット

  1. 自分の訳文をチェックしてくれる人がいない場合、自分の訳文の良し悪しが判断できない。

    私の場合、自分の訳文を客観的に判断してもらう機会がなかったので、常に「これでいいのか?」と思いながら訳文を作成していました。
    まあフリーランスの場合もそのような機会を積極的に作らないと駄目なのは同じですが。

  2. 社内でしか通用しない言葉を使って翻訳していると、外で通用する訳文が書けなくなってしまう恐れがある。

    これは本当に私にとっては悪影響しかありませんでした。わからない日本語をわかりやすい英語で書く、という訓練ができないわけですから。

  3. 時給なので、翻訳のスピードが速い人は損をしがち。

    当時、私は子育て真っ最中で、娘2人を保育園に迎えに行くために残業できなかったので、物凄いスピードで仕事をしていましたが、のんびり仕事をしている人の方がお給料が高いことにかなりのストレスを感じていました。

  4. 人間関係が煩わしい。

    孤独になりにくい反面、職場の環境によっては人間関係がストレスになりがちです。ただ、在宅の場合はこの限りではありません。

 

以上が私の考えるメリット・デメリットですが、

これらを鑑みても、翻訳者としてのキャリアのスタートは社内翻訳者が望ましいのではと思います。

そこでキャリアを積んで、そのまま社内翻訳者を極めても良し、フリーランスに転向しても良し。

これから翻訳者を目指す方の参考になれば幸いです。

 

あ、もちろん、現在フリーランスの方が社内翻訳者に転向、または兼業することも可能だと思います。

色々な可能性を考えて、翻訳をビジネスとして展開させて行きましょう。